No.44 2022年春号

高齢化社会における働き方プラン


 前回の「HAPPYらいふ」2022年新春号で、高齢社会における働き方プランについて考えてみました。「人生100年時代」の老後は 歳以降となり、それまでは仕事ステージであり、更にその仕事ステージを複数に分け、セカンドキャリアやパラレルキャリアが必要では、と記しました。しかし、高齢になっても働ける環境は整っていくのか。あるいは60歳を過ぎてもある程度の収入を得ることが出来るのか。等、不安がよぎります。
 これからの社会を想像すると、ITやAIがますます進んでいくのは間違いないでしょう。そうすると、単純作業は人間がやる必要がなくなってきます。一方、歳をとっていくと衰えていく部分も当然あるでしょう。
 歳以降も働き続け、ある程度収入を得るためには、我々自身のスキルやキャリアを磨き社会に必要とされる人材でなければならないということになってきます。
 私事ですが、「突発性難聴」という病気で2月に8日間入院しました。その時の体験です。看護師さんは病室にやってくる時、車輪が付いた立ったまま移動できる台にパソコンを載せてやってきます。そのパソコンでは電子カルテが見られるようになっていて、私がこれまでどんな治療をしたか、どんな薬を服用したか全部わかるようになっています。ですから、まず、熱と血圧を測り、今日の治療メニューを説明してとっとと他の患者さんのところに移動します。触れあいというものはまったくなく味気のないものです。患者は不安であり、話し相手が必要だったりします。こんなところに、AIには出来ない、歳をとっても働ける仕事のヒントがあるように感じました。
 また、私の日頃の相談業務に住宅ローン相談やライフプランニング相談があります。そこで非常に感じていることに所得格差があります。特に正規雇用と非正規雇用(フリーランス)の方ではかなりの所得格差があるのが事実です。所得の低い人は生涯年収も低いですし、老後の年金も少ないということになります。所得の低い方は残念ながらずっと働き続けなければ生きていけないということになってしまいます。しかし働き続けるといっても嫌な仕事を続けることは苦痛ですし、なかなか続きません。それほど収入が高くなくても働き続けることが可能な仕事を選択するということもあるのではないでしょうか。そのためにも、前回お話しした「内的動機(心の利き手)」の気付きが必要になってくると思います。
 自分に何が向いているのか、何をしても苦痛でないか、自頭を鍛え、柔軟である必要がありそうです。(永津直弘)

 

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加藤惠子・渡辺一江

編集後記

 OECD(経済協力開発機構)加盟国24か国が参加し、16歳から65歳までの男女を対象として行なった「国際成人力調査」によると、「読解力」、「数的思考力」、「ITを活用した問題解決能力」(コンピューター調査による)すべてにおいて、我が国の平均点はOECD平均を上回り参加国中第1位となっています。
 しかし同調査では、その能力曲線は学校教育終了後も向上しますが、30歳前後でピークを迎えた後、徐々に低下していく傾向があることも示されています。ここでは65歳までの結果しかわかりませんが、その後も年齢とともに継続して低下していく現実は否めません。
 一般的に、「お金に関する意思決定能力の難易度」は、「日常の買い物」から「金融機関の利用」、「収支の把握」、「ローンやクレジット」など様々ですが、「金融商品のリスク判断」は実は高い能力が必要とされると言われています。個人差はありますが、現実を客観的にとらえ、運用商品の選択は年齢とともに変えていく必要があるでしょう。
 高齢期を迎えたら、「殖やす方法」から「上手に使っていく・上手に取り崩す方法」への転換も重要になってきます。

(加藤 惠子)