No.39 2020年夏号
Withコロナ -私達のこれからの生活はー
今年初めから始まった新型コロナウイルスの感染拡大は、緊急事態宣言による自粛によって拡大ペースは一旦は収まったものの、自粛解除によって東京周辺では再び拡大傾向にあります。有効なワクチンや治療薬もなく、完全な終息時期はいまだ見通せない状況です。
終息までにはいくつかのシナリオがいろいろなところで示されていますが、楽観的なシナリオでも一定の経済活動の抑制が1年程度は継続されるとみられ、又悲観的なシナリオでは、断続的な抑制と緩和を繰り返しながら2年超続くというシナリオも示されています。
それでも、経済は動かさなければならず、私達は今後、「withコロナ」という環境の中で否応なく生活していくことが求められます。
今回の新型コロナウイルスは、私達のこれまでの生活を一変させました。日常生活においても、ビジネスにおいても求められる「ニューノーマル」と、私達はどう付き合っていけばいいのでしょうか。
「ニューノーマル」という言葉は、2007年~2008年にかけての世界金融危機(リーマン・ショック)の時に生まれたもので、かつては異常とみなされていたような事態が、構造的な変化が起きた結果として「新たな常態・常識」になってくることを意味します。
人やモノが自由に動くことが経済にプラスであるという価値観も、人の動きが強く制限され、さらには、ソーシャルディスタンス(社会的距離)が要請されることによって、大きく変わらざるを得ません。非接触型のサービス、決済が増え、オンライン教育なども含め、これまでも進んでいたデジタル化は今後いっそう加速されるでしょう。
テレワークが一般的になれば、家賃の高い都心の広いオフィスは不要になり、住む場所も職住接近でなくてもよくなり、人口の大都市集中への流れも変わるかもしれません。
衛生管理の徹底もより求められ、消毒液やマスクは必需品になるとともに、接触確認アプリも普通に使われるようになるかもしれません。
新型コロナウイルスが終息したとしても、「元の生活に戻れる」と安易に考えるのではなく、むしろ、それを前向きにとらえ、新しいルールとして受け入れる気持ちを持ち、適応していくことが必要ではないでしょうか。
日本はこれから景気後退局面に入り、恐らく回復までには長い時間がかかりそうです。株価も大きく上下することが予想されますが、出口は必ずあり、10年後、20年後を目標にする運用であれば、市場の成長を信じ、長期的なスタンスは変えずにじっくり続けることをおすすめします。
(加藤惠子)
新型コロナウィルスと保険
保険会社によって特約名や扱いは違います。必ず確認してください。
生命保険会社の新型コロナウイルス関連の支援策をまとめました!
●入院給付金
新型コロナウイルスで入院した場合、疾病での入院とみなされますので、入院日額いくらの給付金を受取ることができます。また、感染疑いで検査入院し、結果陰性であっても入院日数に応じて入院給付金が支払われます。多くの保険会社では特例措置として、軽症のため入院できずにホテルや自宅療養した場合に、治療期間を確認できる医師の証明書があれば、医療保険の給付金支払い対象とすると発表しています。
●通院給付金
通院給付金特約のある医療保険に加入していれば、給付金が支払われます。入院後の通院などで、医療機関側からオンライン診療・電話診療をすすめられた場合、医師の証明書があれば、通院給付金の支給対象となる保険会社もあります。
●契約者貸付利息の免除
契約している保険商品の解約返戻金の一定範囲内で貸付けが受けられる「契約者貸付制度」があります。借入をするので、利息が付きますが、現在、一定の期間までの貸付利息が免除されることになりました。
新型コロナウイルスの影響で、保険料支払いが厳しい場合、解約する前に、契約者貸付を検討されるといいと思います。ただし、申込期間が決められているので注意が必要です。各保険会社で条件などが異なりますので、契約されている保険会社にお問い合わせください。
●契約者へのお見舞金の支払い
契約者や被保険者に対して、治療の有無に関わらず新型コロナウイルス感染症と診断された場合に、お見舞金が支払われる保険会社もあるようです。
●医療相談サービス
契約者や被保険者などに対し、24時間電話健康相談サービスをおこなっている保険会社があります。新型コロナウイルス感染症に関する相談も受けている会社もありますので、まずは、加入されている保険が相談対象のものなのかなどを確認し、不安や疑問などがありましたら電話してみてください。
(渡辺一江)
次に損害保険会社の支援策についてまとめてみました。
●入院給付金・死亡保険金・通院給付金等
生命保険会社同様、新型コロナウィルスでの入院は疾病扱いになりますので、傷害保険や海外旅行保険に特約で疾病入院が付加された保険であれば支払い対象となります。また、新型コロナウィルスは指定感染症になりましたので、特定感染症危険補償特約が付加された保険も支払い対象となります。各社によって特約名や取扱が若干違うようなので、確認してみてください。
●休業損害・利益減少の補償・緊急対応費用補償
2020年2月1日以降、火災保険やその他新種保険(損害賠償保険等)で休業損害補償特約や食中毒・特定感染症利益補償特約等が付加された保険で、新型コロナウィルス感染症による休業損害や利益減少、保健所その他の行政機関による施設の消毒その他の措置を必要とした場合、「緊急対応費用」が払われる保険会社があります(但し、政府・自治体等からの要請・指示に基づく休業および自主休業は対象外です)。これも各社によって特約名や取扱が若干違うようなので、確認してみてください。
●自動車保険の継続契約の締結手続きの猶予・保険料払込の猶予
2020年3月13日か2020年9月30日の間に満期日が到来する契約の継続手続きは、2020年9月30日までに手続きすれば、満期日を過ぎた後でも契約が継続されたものとして取扱ってもらえたり、保険料も2020年9月30まで支払いを延期することを可能とする会社があります。確認してみてください。
●医療相談サービス
こちらも生命保険会社同様電話による医療相談やオンライン医療相談が出来るサービスです。また、期間限定であったりするので、これも各社、確認が必要です。
●新商品
新型コロナウィルスの感染が再拡大する「第2波」が懸念される中、大手損害保険会社各社は来年1月を目途に、新型コロナウィルスの影響による休業補償の補償拡大や保険金の増額を考慮した新商品を発売するとプレス発表しています。
来年になると補償範囲も変わってくると思われます。但し、現在同様、政府・自治体等からの要請・指示に基づく休業および自主休業は対象外となると思われます。
(永津 直弘)
編集後記(2020夏)
100年に一度あるかないかの非常事態に見舞われている私達ですが、今回の「新型コロナウィルス」は100年前の「スペイン風邪(当時の新型インフルエンザ)」と似ていると言われています。 このスペイン風邪は、終息までに約2年かかり、その間、3つの流行の波があったそうです。
今回の新型コロナウィルスも第二波が来ないことを祈るばかりですが、ノーベル生理学・医学賞を受賞された山中信弥教授は、日本の感染拡大が欧米などに比べて緩やかなのは、絶対に何か理由があるはずだと、その理由として「ファクターX」の存在を提唱されています。
「ファクターX」が何かはまだ解明されていませんが、先日のテレビでは、日本は「公衆衛生が整っていること」「クラスター対策が行われていること」「マスクをしていること」そして「BCGの接種」や「遺伝的な要因」も挙げられていました。
世界1位となったスーパーコンピューター富岳も、今後、新型コロナウィルス対策に貢献するため、優先的に技術面からのサポートを行うそうです。日本の技術におおいに期待したいですね。
(加藤惠子)